憧れた小学生の頃の友

小学生の頃、私は学校の吹奏楽部に入っていた
その部は夏休み中にも練習があり、蒸し暑い体育館でひたすら練習していたのを覚えている
私はじっとしていることが苦手で、合間の休息時間に部内の同級生をよく「鬼ごっこ」に誘っていた。
しかし、私の規格外の元気さは、夏の蒸される暑さに参っていた友人達には酷であり鬱陶しいものだったのであろう。ほとんど断られていた
ある日、珍しく皆が誘いに乗ってくれたので他の友人にも声をかけた。その子は活発的で人の中心にいるような子で、私の誘いもよく乗って遊んでくれる子だった。
しかし、その日は歯切れ悪く断られてしまった。そうかと、その子だけを残し鬼ごっこが始まった
内容は参加者皆が私だけを狙ってくる陳腐な悪ノリであった。毎度毎度誘ってくる私に飽き飽きしていたのであろう。
すぐそれに気づいて愕然とした。そしてやるせなさと恥ずかしさに襲われた。それから私が誘うことは無くなったので、皆が画策した効果は確かに抜群であった。
その日から、遊びを断った子のことを考えるようになった。彼女は気づいていたのかもしれない。
確証なく私に伝えられるはずもない。誰にも角がたたない立ち回りに、彼女がとても大人に見えた。
あれから10数年経つが、今の自分が彼女のように大人かと聞かれたら迷わず首を振るだろう。
彼女のような立派な人間になれる日は、来るのだろうか…今でも時折、ふっ、と自問している
it 向いてない